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生成AIは、高性能になればなるほど巨大になる。
巨大になるほど、
が必要になる。
少し前までは、これが当たり前でした。
特に動画生成AIとなれば、
「個人PCで動かすのは一部のハイエンドユーザーだけ」
というイメージが強かったと思います。
しかし2026年8月、少し面白い動きが続いています。
一つは、動画生成AI、
MiniMax H3。
Comfy-OrgからComfyUI向けに再パッケージされたモデルが公開され、
など、従来より扱いやすい構成が用意されました。
もう一つがLiquid AIの、
LFM2.5-2.6B。
こちらはわずか26億パラメータ級ながら、スマートフォンなどのエッジデバイス上で、
を行うAIエージェント用途を想定しています。
テクノエッジの「生成AIウィークリー」でも、この2つが2026年8月の注目技術として取り上げられています。MiniMax H3についてはComfyUI向けの軽量構成、LFM2.5-2.6Bについてはスマートフォンでも動作する軽量AIエージェントとして紹介されています。
この2つ。
一見すると、
動画生成AI
と、
小型LLM
なので全く別の技術に見えます。
しかしAI Motion Labでは、かなり重要な共通点があると考えています。
それが、
AIが「クラウドで使うもの」から「自分の端末で動かすもの」へ近づいている
ことです。
この記事では、
を初心者向けに整理します。
MiniMax H3って、かなり巨大な動画AIじゃなかった?“軽量版”って小さいモデルになったの?
そこは注意。H3自体が小型モデルになったわけじゃない。量子化やpruningで、個人GPUでも扱いやすい構成が出てきたという方が正確だ
MiniMax H3は、中国MiniMaxが公開したオムニモーダル生成AIです。


単なるText-to-Videoモデルではなく、
を組み合わせて扱えます。
生成側でも、
映像+ステレオ音声
を一体で生成できます。
公式リポジトリでは、
などに対応すると説明されています。
テクノエッジの記事では、音声は32kHzステレオ、セリフは日本語を含む11言語をサポートすると紹介されています。
これまでAI Motion LabでもMiniMax H3について、
「高性能な動画生成AIをローカルPCで動かす」
という点を追いかけてきました。
しかし大きな問題があります。
重い。
これです。
MiniMax H3をフル精度に近い状態で扱おうとすると、一般家庭のGPUではかなり厳しいモデルです。
コミュニティによる実測では、BF16のDiffusionモデルだけでも約66GB、Text Encoderも約51GB級になる構成があります。
これは、
RTX 4090 24GB。
RTX 5090 32GB。
でも、
全部そのままVRAMに載せればいい
というサイズではありません。
そこで重要になるのが、
量子化
です。
Comfy-OrgはMiniMax H3をComfyUIで利用しやすい形に再パッケージしています。
テクノエッジによると、今回の配布版には、
などが用意されています。Text Encoder側にも軽量版があり、VRAMが少ないGPUでも動作させられる余地が広がりました。
ComfyUIの公式Workflow Templateでも、
minimax_h3_fl2va_pruned_int8_convrot.safetensors
というpruned+INT8構成が利用されています。
prunedは、
Pruning=枝刈り
から来ています。
非常に簡単に言うと、
モデルの中から不要度の高い部分を削り、扱いやすくする
考え方です。
そこへさらに、
INT8
などの量子化を組み合わせる。
すると、
巨大なモデルを、
より少ないVRAM・RAMで扱える可能性
が出てきます。
AIモデルでは大量の数値を保持しています。
高精度で持つほど、
を使います。
そこで数値表現を軽くするのが量子化です。
ざっくり言えば、
高精度。
重い。
↓
精度を軽量化。
↓
必要メモリを減らす。
というイメージです。
ローカルLLMでいう、
Q4やQ8
に近い考え方です。
ここは非常に重要なので、断定には注意が必要です。
MiniMaxやComfyUIから公式の最低VRAM値は公表されていません。
したがって、
MiniMax H3はVRAM 8GBで動く!
と公式仕様のように言うのは適切ではありません。
2026年8月時点のコミュニティ実測・報告では、おおよそ次のようになっています。
| VRAM | 状況 |
|---|---|
| 8GB | 未検証・非推奨に近い |
| 12GB | 動作報告あり。かなりOffload依存 |
| 16GB | 実測例あり |
| 24GB | かなり現実的 |
| 48GB以上 | より余裕 |
RTX 5070 Ti 16GBでのコミュニティ実測では、処理内容によってVRAMピークが約12.2~15.3GiBとなっています。さらに12GBのRTX 3060でも、32GB RAM+高速NVMeを使った動作報告があります。
ただし12GB環境では、
VRAMだけを見てはいけません。
MiniMax H3の低VRAM実行では、
GPUに全部載らないモデルを、
の間で移動しながら処理します。
16GB GPUで検証した例では、
VRAMよりもむしろ、
システムRAMが大きな制約
になると報告されています。
RTX 5070 Ti 16GBでの実測では、通常構成でプロセスのRAM使用量が45GiBを超えたケースもありました。
つまり、
VRAM 16GBだからOK。
ではありません。
例えば、
16GB。
16GB。
では厳しい可能性があります。
動画生成AIでは、
GPU+RAM+SSD
をセットで考えた方がよいでしょう。
“VRAM何GB?”だけでMiniMax H3を判断すると危ない。モデルを逃がすシステムRAMと、読み書きする高速SSDもかなり効いてくる
ここはAI Motion Labとしてかなり気になるところです。
RTX 3060 12GBは、最新GPUではありません。
しかしVRAMだけなら12GBあります。
コミュニティでは、
RTX 3060 12GB+RAM 32GB+高速NVMe
で動作したという報告があります。
これは非常に面白い。
ただし、
RTX 3060なら快適にMiniMax H3が使える。
という意味ではありません。
大量のCPU OffloadやDisk Offloadが必要になる可能性があり、生成時間も長くなります。
つまりRTX 3060は、
「実用動画生成機」
というより、
「MiniMax H3が本当に家庭用GPUで動くのか試す実験機」
として面白い。
AI Motion Labでも、ここはかなり検証してみたいところです。
RTX 4090は24GB VRAMです。
24GBクラスになると、pruned INT8構成はかなり現実的になります。
コミュニティ資料でも24GBは「comfortable」とされています。
RTX 3090 24GBによる実測では、
15秒・832×480・ステレオ音声付き
の動画生成まで確認されています。
ただし、
フルBF16モデルを全部VRAMへ載せる。
という世界ではありません。
24GBでも、
軽量版+Offload
を前提とした方がよさそうです。
一言で言えば、
MiniMax H3の性能そのものより、“触れる人が増えた”こと
です。
以前なら、
「すごい動画生成AIですね」
↓
でもGPUがない。
↓
クラウドAPIを使う。
でした。
今回のComfyUI向け構成によって、
RTX 3060。
RTX 4070 Ti SUPER。
RTX 5070 Ti。
RTX 3090。
RTX 4090。
など、
一般ユーザーが持つGPUでも、
設定次第で試せる領域
へ近づいています。
まだ誰でも簡単とは言えません。
しかし、
「データセンターGPUじゃないと話にならない」
からは明確に一歩進んでいます。
今回参考にした生成AIウィークリーでもう一つ気になったのが、
LFM2.5-2.6B
です。
Liquid AIが2026年8月4日に公開しました。
名前の通り、
2.6B=約26億パラメータ
の小型モデルです。
ローカルLLMに慣れている人なら、
「2.6Bか。かなり小さいな」
と思うでしょう。
しかしこのモデルは、普通の軽量チャットAIとして作られたわけではありません。
目的は、
AIエージェント。
です。
Liquid AIはLFM2.5-2.6Bを、
完全にオンデバイスで動作するAgentic Model
として公開しています。
できることとして、
などが挙げられています。
つまり、
単純に、
富士山について教えて。
と回答するだけではなく、
目的を理解する。
↓
必要なツールを使う。
↓
複数工程を進める。
というAIエージェント用途を想定しています。
モデル仕様もかなり面白いです。
LFM2.5-2.6Bは、
です。
特に、
131,072トークンのContext
を持つのは、小型モデルとしてかなり面白いところです。
長めの資料や作業履歴を扱うAIエージェントとの相性を意識していることが分かります。
さらにLiquid AIの公表値では、
メモリ使用量2.5GB未満
で動作します。
これは、
16GB。
32GB。
のPCメモリではなく、
2.5GB未満。
です。
そのためスマートフォンなどの端末でも利用を想定できます。
Liquid AIの公表値では、
220 tokens/sec
113 tokens/sec
そしてスマートフォンでも、
約30 tokens/sec
で動作可能としています。
もちろんこれはLiquid AI自身の測定値であり、端末や量子化、Runtimeなどで実際の速度は変わります。
しかし、
スマホでAIモデルがギリギリ動く。
ではなく、
スマホでエージェントとして使える速度を目指している。
ここが重要です。
Liquid AIのベンチマークでは、
などで、LFM2.5-2.6Bが自分よりかなり大きなモデルと競合する結果を示しています。
例えばToolSandboxでは、
LFM2.5-2.6B:77.83
に対して、
Qwen3.5-9B:76.44
という結果が掲載されています。
もちろん、
2.6Bが9Bモデルより全部賢い
という意味ではありません。
一般知識。
文章。
推論。
コーディング。
など、評価項目によって結果は変わります。
重要なのは、
AIエージェント用途へ特化して学習すれば、小型モデルでもかなり戦える
ということです。
ここが普通の会社員にとって一番重要です。
ChatGPTがある。
Geminiもある。
Claudeもある。
それなのに、
わざわざスマートフォンの中でAIを動かす必要はあるのでしょうか。
Liquid AIが挙げるメリットは、
です。
特に面白いのが、
Token Costがなくなる
ことです。
API型AIエージェントの場合、
AIが、
考える。
↓
Toolを使う。
↓
結果を見る。
↓
もう一度考える。
↓
再びToolを使う。
と繰り返すたびにTokenを消費します。
複雑なエージェントほど、
何万・何十万トークン
と使う可能性があります。
一方、端末内のローカルモデルなら、
電力コストなどはありますが、
1トークン何円というAPI課金はありません。
Liquid AIはこれにより、背景で常時動く大量のエージェントを作りやすくなると説明しています。
まだ具体的なスマホアプリとして完成しているという話ではなく、ここからはAI Motion Labとして考える利用イメージです。
例えば、
予定を確認。
↓
今日やることを整理。
自分のメモを整理。
保存場所を分類。
今日行ったことをまとめる。
自分の資料から検索。
こうした軽い作業を、
毎回クラウドAIへ投げる必要がない。
スマホ内に、
小さなAIエージェントを常駐させる
という世界が現実味を帯びてきます。
ここでAI Motion Labとしてつながってくるのが、
Androidタブレットです。
これまで、
REDMAGIC Astra 2にローカルLLMを入れたら面白い。
という話をしてきました。
しかし従来は、
小型モデルを入れてチャットする。
というところが中心でした。
LFM2.5-2.6Bのようなモデルが増えてくると、
次は、
タブレットにAIエージェントを置く
という使い方が見えてきます。
例えば、
Astra 2+ローカルAIエージェント。
ゲームをする端末。
だけではなく、
自分の資料。
自分のメモ。
自分の作業。
を処理する、
持ち運べるAI端末
です。
ここが今回、一番面白いと思ったところです。
MiniMax H3は、
巨大なAI。
それを、
量子化。
Pruning。
Offload。
によって、
家庭用GPUへ近づける。
一方LFM2.5-2.6Bは、
最初から、
小さく、速く、端末内で動く
ことを重視。
つまり、
巨大AIを小さくして手元へ。
最初から手元で動くAIを賢くする。
違うアプローチですが、
到達する方向は同じです。
AIを自分の端末へ持ってくる。
これです。
少し前まで、
ローカルAI。
と言えば、
ほぼ、
ローカルLLM
でした。
LM Studio。
Ollama。
Qwen。
Gemma。
などです。
しかし今は、
ローカルLLM。
Embedding+RAG。
BionicやLFM2.5。
Stable Diffusion系。
MiniMax H3。
と、
ローカル化の範囲が広がっています。
ここも重要です。
MiniMax H3のローカル実行は、
まだかなり重い。
LFM2.5-2.6Bも、小型モデルなので巨大クラウドAIとすべての能力で競えるわけではありません。
例えば、
最新情報を調べる。
非常に複雑な推論。
大規模動画生成。
では、クラウドAIの方が便利な場面があります。
つまり、
クラウド vs ローカル
ではありません。
例えば、
ローカルLFM。
ローカルRAG。
ChatGPT・Claude・Gemini。
ローカルMiniMax H3。
クラウド。
という使い分けです。
全てをローカルへ置き換える必要はありません。
むしろ、
クラウドへ送る必要のない仕事を手元へ戻す。
これが現実的だと思います。
今回のニュースから、特に注目したいのは次の3点です。
MiniMax H3のような巨大モデルでも、量子化+Offloadで12GB・16GB級GPUから試せる可能性が出てきました。
今後GPUを選ぶとき、
ゲームのFPSだけでなく、
VRAM容量
の価値はさらに高まりそうです。
LFM2.5-2.6Bは、
2.6Bという非常に小さなサイズながら、
AIエージェント用途に絞ることで高い性能を狙っています。
モデルサイズだけでAIを評価する時代ではなくなってきました。
これまでは、
スマホでAIを使う。
と言っても、
実際の計算はクラウド。
というケースが多くありました。
これからは、
端末の中でAIモデルそのものが動く。
しかも単なるチャットではなく、
AIエージェントとして動く。
ここがかなり面白いところです。
最後に、ここは強調しておきます。
今回、
MiniMax H3軽量版。
という言葉だけを見ると、
RTX 3060でも簡単にサクサク動画生成!
と誤解してしまうかもしれません。
実際にはそんなに単純ではありません。
ComfyUI向けpruned INT8構成でも、T2V/I2Vで必要になるファイル一式は約40GB級になります。
低VRAMでは、
とのトレードオフがあります。
特に8GB GPUについては、現時点で信頼できる最低要件として確認できません。
したがって、
家庭用GPUで動かせる可能性が大きく広がった。
というのが正確な表現でしょう。
MiniMax H3への対応は新しいため、不具合報告もあります。
2026年8月には一部BF16 Checkpointで黒画面になる問題や、特定のFP8ファイルのMetadataに関するIssueも報告されています。代替としてINT8版を使うWorkaroundが提示されているケースもあります。
つまり、
インストールすれば必ず一発で動く。
という成熟した状態ではありません。
これもローカル動画AIの現状です。
生成AIの進化というと、
より巨大。
より高性能。
より大量のGPU。
という方向ばかりが注目されます。
しかし2026年8月に出てきた、
MiniMax H3のComfyUI向け軽量構成。
そして、
LFM2.5-2.6B。
を見ると、別の方向も見えてきます。
MiniMax H3では、
巨大な動画生成モデルを、
によって家庭用PCへ近づける。
LFM2.5では、
2.6Bという小さなモデルを、
によって、
スマートフォンで動くAIエージェント
へする。
AIって大きくなる一方だと思ってたけど、小さくして手元で使う競争も始まってるんだね
むしろ普通のユーザーにとっては、こっちの進化の方が重要かもしれない。“最高性能のAI”より、“自分の端末でいつでも動くAI”の方が使える場面は多いからね
ローカルLLM。
↓
ローカルRAG。
↓
ローカルAIエージェント。
↓
ローカル画像生成。
↓
そして、
ローカル動画生成。
自分のPCやスマートフォンの中で扱えるAIの範囲は確実に広がっています。
これからAI端末を選ぶときは、
CPU。
GPU。
ゲーム性能。
だけではなく、
「この端末では、どこまでAIをローカルで動かせる?」
という視点もかなり重要になってきそうです。
AI Motion Labでは今後、
RTX 3060 12GBでMiniMax H3の軽量構成は本当に動くのか。
そして、
LFM2.5-2.6BをAndroid端末へ入れると、どこまでAIエージェントとして使えるのか。
この2つは実際に試してみたいテーマです。
クラウドAIを使うだけではなく、
自分のPC・スマホ・タブレットそのものをAIマシンにする。
2026年後半の生成AIは、そこがかなり面白くなってきました。


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